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(ちょっと)気になる仏教語辞典 [日記]

気になる仏教語辞典: 仏教にまつわる用語を古今東西、イラストとわかりやすい言葉でなむなむと読み解く

気になる仏教語辞典: 仏教にまつわる用語を古今東西、イラストとわかりやすい言葉でなむなむと読み解く

  • 作者: 麻田 弘潤
  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2018/11/06
  • メディア: 単行本

 全国を飛び回って「消しゴムはんこ」の楽しさとともに仏教・浄土真宗の嬉しさを伝えてくれているユニット「諸行無常ズ」の一人としても活動している麻田さんの本。
 消しゴムはんこを教えてくれる「諸行無常ズ」のワークショップに参加したとき、消しゴムの彫り方を教えてくれたり実演したりしながら、彼は仏教についてとてもわかりやすい言葉で嬉しそうに語ってくれていた。また、参加者が自分で彫り上げた消しゴムはんこを色紙に捺すとき、彼が持参したものすごい数の素晴らしい消しゴムはんこも一緒に自由に捺させてもらって楽しむことが出来た。
 この本で紹介される言葉は大体が仏教用語だが、まったく関係なさそうな言葉も含まれている。そういう日常の言葉も独特の感性で絶妙に仏教にからめる感じで解説している。言葉の選択や説明が微妙に偏っていたりするので、そういうところも楽しく読める。また、表紙や挿絵などの絵は、すべて麻田さんが描いている。
 ゆくゆくは消しゴムはんこの本を出すのかと思っていたら、ちょっと予想外の方向だっので驚いた。しかし、よくよく思い出すと、彼はあのワークショップで、消しゴムを彫りながら確かにご法話をしていたし、あのたくさんお消しゴムはんこの下絵は間違いなく彼が描いていたのだから、あまり不思議がることもないのだと思う。しかし、中央仏教学院で同じクラスだった麻田くんが本を出したことには、大変に驚いた。
 辞書なので、一気に読むのはもったいない。そばに置いておいて、ちょこちょこ読んでください。
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コメント 3

ノリ

浄土真宗の信心がこんなに分かりやすいわけがない、を拝読して、ブログを運営しているということだったので、今自分が浄土真宗について疑問に思っていることを質問させていただきたいなと思い書き込みます
蜂屋という方の「四十八願講話」という本に「たとえわたしが仏になることができても、他の国の菩薩たちが六字の名号を聞きて、仏に成るまでの間、その身に不自由な点があるなら。わたしは決して仏になりません。 」という無量寿経の四十一願について「これは信心を得たものについての願。信心決定すると、諸根が具足する」と書かれてあって、それはおかしいんじゃないか、だったら身体障碍の方は救われないんじゃないかと思い、四十八願について書かれてある本を読み漁りました。
すると
金子大栄師は「他方国土の諸菩薩衆というのは哲学者や聖道門の修行者のこと」としており
阿満利麿さんは「佛のもとにいて修行しているもの」としており
香月院深励師は「十住以上の浄土嫌いの菩薩を18願に引き入れるための願」としておりました
41願の「他方国土の諸菩薩衆」が誰なのかについては本を読んでも様々な説があり、どれをとっていいのか分かりません
浄土真宗の公式見解?のようなものはどうなっているのでしょう
もし蜂屋賢喜代さんの言うように、信心のあるものは身体障碍を負わない、という願だったとしたら、私も体が弱いので、後生が不安です
お忙しいとは思いますが、返信いただけたら幸いです
by ノリ (2019-05-16 19:05) 

chishu

ノリさん、コメントありがとうございます。

ご紹介の蜂屋さんの本は辛うじて読んでますが、他は阿満利麿さんくらいです。香月院深励は大学院の時に参考書のように読みました。金子大榮は伝説の人のように思っていて、著作をきちんと読む発想がなぜかなかったことに気づいています。

というかなりお寒い状態のわたしです。すみません。

四十八願は、基本、阿弥陀仏の浄土に生まれた人が、浄土でどういう状態になるかが誓われています。第十八願は、南無阿弥陀仏を聞いた人が浄土往生を願うなら間違いなく浄土に生まれます、とか。
 
四十一願もそういう感じなのではないかと思います。という前提で本文を見てみます。たぶんご存知だと思いますがいちおう本願寺派の現代語訳を引用しますと、こうなってます。

「わたしが仏になるとき、他の国の菩薩たちがわたしの名を聞いて、仏になるまでの間、その身に不自由なところがあるようなら、わたしは決してさとりを開きません。」

うーん。となると、字義通りでいけば、この世界で南無阿弥陀仏を聞いてからこの世界の縁が尽きて浄土に往って仏になるまでの間、となります。

でも、それは現実的に考えて不可能です。いま南無阿弥陀仏をいただいていて、これから今生で体が不自由になる人が絶対いないとは言えないし、いま体に不自由を抱えている人がお念仏をよろこんでいる場合だってあります。

と考えると、これは、いまお念仏をいただいている人がお浄土にいってから、と考えた方が自然なのではないかと思います。お浄土では身体の不自由さがない、ということなのではないでしょうか。

浄土真宗は「公式見解」みたいなのを公式なところから出すことはあまりありません。一応出すこともありますがまれです。それよりは、所属してるいろんな人がいろんなことをてんでバラバラに言っているうちに大まかに最大公約数的な「合意」みたいなのが出来上がって、それが「公式見解」的に理解されることはありますし、「現代語訳」が刊行されるとそれがいちおう公式見解的に理解されるようにもなりますが。

四十八願で説かれる浄土の相は、「とにかく何の心配もないのが浄土だよ! だからいま南無阿弥陀仏をいただいているなら、安心しておいでよ!」ということを示しているのだと思います。今何があっても、これから何があるかもわからないけれど、とにかく大丈夫です、という。

だからこの世界のすべてを厭うて早く浄土に来い! ということにも読めますが、たぶん逆で、「南無阿弥陀仏をいただいているあなたは、この世界との縁が尽きたら、とにかく何の心配もない浄土に往けます、往ったら即成仏で仏さまです、自分で修行する必要は一切ないです」ということに続いて「だから、浄土に往くとか仏に成るとかについて、あなたは思い煩う必要はないです。すべてこっちで面倒を見るので、あなたはこの世界でやれるだけのことをやってください。お念仏をいただいているあなたならそれができますよね! もし誰かが虐げられていてお念仏に会う機会が狭められている状況があるのならそれを改善するために持てる力を使ってください。」みたいな感じになっていきます。

同時に、今生で今後なにかがあって身体が不自由に成るとしても、お浄土に往くためには何の不都合もないです、ということにも読めると思います。

蜂屋さんが書いているとご紹介のような内容には、ちょっと読めません、というか、現実問題としてそのような内容として読むべきではないように思います。ただ蜂屋さんには何かわたしとは違う意図があってそのように読んだのかもしれません。

求めているような回答になっているかどうかかなり不安ですが、このような感じで返信させていただきます。なんかもう、いろいろきちんと考えなければならないことだなと思いました。ありがとうございます。
by chishu (2019-05-17 22:28) 

ノリ

返信ありがとうございます
ここまで真摯に考えてくださるとは;;
「仏になるまでの間」というのを浄土へ行ってから、と読むのですね
公式見解というのがない、というのも勉強になりました

けれども他の「他方国土の諸菩薩衆」への願を見ると、やはりこれは念仏者への願ではないんじゃないかという気もします

「たとえわたしが仏になることができても、他の国の菩薩が六字の名号を聞けば、皆清浄解脱三昧を得て直ちに数限りない諸仏を供養ししかも三昧の心を乱さないでしょう。そうでなければ、わたしは決して仏になりません。 」
「たとえわたしが仏になることができても、他の国の菩薩が六字の名号を聞けば喜び勇んで菩薩の修行に励み多くの功徳を完全に身に具えるでしょう。そうでなければ、わたしは決して仏になりません。 」
「たとえわたしが仏になることができても、他の国の菩薩が六字の名号を聞きけば、命終後に人々から尊ばれる家に生まれることができます。そうでなければ、わたしは決して仏になりません。」
「たとえわたしが仏になることができても、他の国の菩薩たちが、六字の名号を聞きて、直ちに音響忍、柔順忍、無生法忍を得ることができず。また諸仏の説法において不退転の位に至ることができないならば、わたしは決して仏になりません。 」

48願だけは「聞きて直ちに」とありますが、本願寺の訳ではないのですが、中村元さんの梵文和訳を読むと、全ての願に「聞くと同時に直ちに」と書かれてあります 名号を聞くと、命が終わった後高貴な家に生まれる、というのも浄土へ往生する者にとっては何か拙いような願に思います
けれども、これらの願も48願を除いては、「浄土へ行ったあと」と解釈することは確かに可能ですね。

「救いから漏れようとしてお経を読むのではなく、救いに預かるように読みましょう」と言われたことがあるのですが、「蜂屋さんの解釈が正しかったらどうしよう 後々身体に不具合が出て救われないかもしれない」と考えてしまうんですよね 公式見解がない、というのは自分で解釈しなければならないところも出てくるので、難しい部分もあります・・

なにはともあれ、真摯なご回答ありがとうございます 大変勉強になりました
by ノリ (2019-05-18 12:40) 

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