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あの総理大臣に、この外務大臣。 [政教分離]

 麻生太郎さんが、「総理よりも天皇が靖国神社に参拝すべきだ」という旨の発言をされたそうです。

 英霊からしてみれば、天皇陛下のために『万歳』と言ったのであって、総理大臣万歳といった人はゼロだ。天皇陛下の参拝が一番だ
(『北海道新聞』2006年1月29日 16版 1面より)

 憲法には「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であ」ると定められています。
 日本国民の「統合」がどういう内容のものであるのか、またあるべきなのか、わたしにはよくわかりませんが、それはさておき、「日本国」の「象徴」、つまり存在そのものがクニであるかのように憲法に定められているヒトが(憲法によるこのような規定の是非の問題は今は措きます)、一宗教施設である靖国神社に参拝することを国務大臣が要請(希望?夢想?)するのは、あまり良い現象ではないと思います。いや、かなり悪い現象だし、激烈に悪い傾向だと思います。
 クニは宗教施設に参拝してはいけません。「天皇が靖国神社に参拝すべきだ」と発言する大臣は、自分がそんなこともわかっていないことを表明しているに過ぎない。あの総理にこの大臣。我々はこんな人たちしか選べない、そんな悲しい現象を「総意」しているのです。


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新年の皇族方の伊勢神宮の参拝はどうなのか?
日本国憲法に、天皇の国事行為として
「十 儀式を行うこと」とある。
この儀式とは、新嘗祭などのことを指す。
これもいわば宗教的なものである。
これを許さないとすれば、憲法違反という矛盾に陥らないか。
そもそも戦後も昭和天皇は、靖国に行かれていた。
そうならなくなったのは、いわゆるA級戦犯合祀が一つの原因であろう。そう考えると「政教分離」とは違う問題なのではないでしょうか。
by (2006-01-29 20:14) 

chishu

> 新年の皇族方の伊勢神宮の参拝はどうなのか?

 難しい問題だと思います。フツウの人が個人として行くのは全然問題ないと思いますけど、天皇が行くのは少し複雑な問題があると思います。

 わたしは、以下のように考えています。

 天皇は天皇になってしまうと年中「天皇」であり「一個人」になる時間がない。だから、天皇の伊勢神宮参拝は、厳密に言えば憲法違反になると思います。しかし特例として、わたしは認めるべきだと思います。
 と言うのは、厳密に言い出すと、一人の人間として行うべき宗教的行為をすることが、年中「天皇」である天皇という「個人」にはまったく許されないことになるからです。
 しかし、それはおかしいと思います。
 わたしは、人間は宗教から分離されて生きることは出来ないと考えています。
 また、どんな人間も、自分の宗教的信条や信心・信仰を他から邪魔されるべきではないとも考えています。
 なので、天皇の「個人」としての伊勢神宮への参拝は、容認されるべきであると考えています。

> 日本国憲法に、天皇の国事行為として
> 「十 儀式を行うこと」とある。
> この儀式とは、新嘗祭などのことを指す。
> これもいわば宗教的なものである。
> これを許さないとすれば、憲法違反という矛盾に陥らないか。

 宗教的な儀式でない儀式は行えば良いと思います。
 しかし、政教分離を考えて、やるべきでない儀式はしない方が良いと思います。
 天皇が天皇として何か宗教的な儀式をやるのは、わたしは非常にまずいと思います。

 新嘗祭は、厳密に言えば憲法違反のような気がわたしはします。しかし代替わりの時の大嘗祭は憲法に違反しないという旨の判断が地裁から出たし、かつ、その後も係争中なので、これら天皇が行う宗教的儀式のような一連の儀式については一概には言えないとも思います。
 また、儀式の内容を定めているのは憲法ではなく皇室典範その他だったと思います。なので、もし一部の儀式に憲法違反が確定した場合でも、法律を変えていけば、憲法が憲法に違反することにはならないと思います。

> そもそも戦後も昭和天皇は、靖国に行かれていた。
> そうならなくなったのは、いわゆるA級戦犯合祀が一つの原因であろう。
> そう考えると「政教分離」とは違う問題なのではないでしょうか。

 「かつて参拝していたから今も良い」ということにはならないと思います。
 A級戦犯の問題が出てきたから天皇が靖国神社に参拝しなくなったというのは考えられると思います。しかし、発端とは違う問題が実際にあるわけです。A級戦犯の問題は天皇が靖国神社に参拝しなくなった「一つの原因」に過ぎないと思います。

 そのように考えるので、天皇の靖国神社への参拝の問題は、やはり政教分離の問題であるとわたしは考えています。

 政教分離とは違う問題であるとしたら、天皇の靖国神社への参拝の問題はどのような問題だとお考えでしょう?
by chishu (2006-01-29 21:37) 

政治的な問題であると考えます。
天皇と宗教を切り離すのは容易なことではありません。
そもそもが、宗教的な存在でもあったわけですから。
「政教分離」が問題ならば、靖国だけではなく伊勢神宮にも行かれることはないはずですから。そうではないことが、証明しているのではないでしょうか。
by (2006-01-29 23:57) 

chishu

> 政治的な問題であると考えます。

 それは具体的に、どういうことでしょう?
 どのような点が、どのように、政治的な問題であるとお考えなのでしょう?
 これだけではわかりません。ぜひ、お示しください。

> 天皇と宗教を切り離すのは容易なことではありません。

 そうかもしれません。でもそれは「切り離すのが容易でない」から「切り離さないで良い」が直接導き出せるということでもないはずです。
 上に書いたように、わたしは、すべての神社に天皇が天皇としていつでも参拝して良いとは考えていません。

 いつ、どんな条件下でも、天皇と宗教を切り離さないで良いとお考えですか?
 もしそうお考えだとしたら、それはどのような理由から導き出せるのですか?

> そもそもが、宗教的な存在でもあったわけですから。

 「そもそも」科学は一神教の絶対者の存在その他を証明するために企てられました。しかし現在では一神教の絶対者の存在そのものを否定しかねない勢いです。また、「そもそも」仏教はこのクニに八百万の神の一つとして導入されましたが、今ではそうではありません。
 わたしは「そもそも」の天皇を問題にしているのではなく、天皇の靖国参拝を云々した麻生氏の発言をもとに、今の天皇の靖国神社参拝を問題にしています。ですからここで「そもそも」論をしても的を射た論にはなりません。

> 「政教分離」が問題ならば、靖国だけではなく伊勢神宮にも行かれることはないはずですから。そうではないことが、証明しているのではないでしょうか。

 おっしゃっている意味がよくわかりません。

 ‥‥ひょっとしてこの文章( 「政教分離」が問題ならば、靖国だけではなく伊勢神宮にも行かれることはないはずですから。そうではないことが、証明しているのではないでしょうか。)は、このような意味のことを言っているのでしょうか。

「天皇が伊勢神宮に参拝している以上、そこに政教分離の問題は一切ない。また、天皇が伊勢神宮に参拝している以上、同じ「神社」である靖国神社に参拝することにも一切の問題がない。」

 わたしの誤読であることを期待しますが、もしこう言いたくて書いたのだとすると、わたしはあなたに、こう言わなければなりません。

 「事実をきちんと把握してください。」

 第一に、「実際に何かが現象している以上その現象は問題を一切含んでいない」ということは言えません。
 第二に、靖国神社と伊勢神宮とはまったく性格が異なっています。
 第三に、クニやクニの機関が靖国神社に参拝する・しないの問題は、政教分離の問題を含んでいます。「別問題である」と思ったり主張したりしても、それが事実として別問題になるわけではありません。事実として、天皇の靖国神社の参拝には政教分離の問題が絡んでいるのです。

 誤読でしょうか、誤読ではないのでしょうか。読み返して見て、どうも誤読ではないような気がしておりますが、もし誤読でしたら、どのように誤読なのか知りたいです。
 どのようなことが言いたくて書いたのかも含めて回答してくれるととても嬉しいです。
by chishu (2006-01-30 01:24) 

まる暴担当役員

お久しぶりぶりです。
(⌒∇⌒)ノフリフリ

こんな時間で、なんですが、説得力のあるエントリに出会える幸福を噛み締めております。嫌味じゃなくて。

民俗学者の柳田は、「政祭一致」を主張していますが、私は、そうは思わない、という感想文だけで、本日は失礼します。

神道が宗教であるか否かの問題も、色々と議論されるべきものだと思いますし、その議論は尽くされているのかもしれない…、という想いもあります。
by まる暴担当役員 (2006-03-12 05:40) 

chishu

 いや、嫌味じゃないのは多分わかっております、大丈夫です。(でも変なところをくすぐられているような気がします。)

 靖国関連の本がタケノコみたくにょきにょき発売されるようになってるのは、議論がいろいろなところで起きてるということを示しているからきっと良いことなんだろうなあと思ったり、『国家の品格』を買うときに「購入者イコール支持者、みたく考えられるのはイヤだなあ」と思ったり、しております。ネット上の書評を読む限りろくでもなさそうな印象、でも実際に読まないとよくわからない。

 靖国関係の論文を書きたいと申しておりましたが、より優先すべきことが出てきてすっかり忘れてるうちに頓挫いたしました。うひひ。スミマセン。
by chishu (2006-03-13 00:49) 

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