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高橋昌一郎『反オカルト論』光文社新書 [本の感想系]

反オカルト論 (光文社新書)

反オカルト論 (光文社新書)

  • 作者: 高橋 昌一郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/09/15
  • メディア: 新書

スピリチュアリズムの起源に迫って、世界的に有名な話をきちんと紹介してくれます。再確認。あと、わたしがまったく知らなかった話も紹介してくれています。一次資料にきちんとあたったそうです。でもこれも有名な話なのかなあ。こんなに感動的な話を知らなかったなんて。不勉強を恥じています。コナンドイルの残念さはしかし本当に残念です。ホームズもロストワールドとかも大好きです。(まあ景山民夫のカンガルーとかCooとか大好きでやっぱり残念ですから同じようなものか。)
 
帯にある「STAP細胞」についてはかなり詳しくやってくれてます。わたしも割烹着姿にキュンキュン来た中高年の遅れてきた代表筆頭くらいなもんなので、だから恥ずかしくてあまりキャッチアップしてないんですが、きちんきちんと「その後」のいろいろを丁寧に紹介してくれています。本当にありがとうございます。
 
ときどき新聞で本の広告を見まくる矢作というお医者さんの著作となさっていることの内容についても紹介してくれてます。広告を見るたびにあまりに変な内容っぽいけどお医者さんだけど大丈夫なんだろうかと思っていたら江原さんとお互いに認め合うような対談本を出したからああやっぱりアレなんだなあと思っていたらやっぱりこの本でも否定的に紹介されています。読む手間が省けて本当に良かった。
 
個人的には、「はじめに」で、20年以上前に講義で「少年老い易く学成り難し…」の漢詩を「あれは中国ではなく日本成立の漢詩。そして内容は実はコレコレこういうことで…」と紹介してくださった柳瀬喜代志先生の論文が引かれ、まったくその主張のままだと紹介してくれてたのには、懐かしく、またすごくびっくりしました。まさかこういう本で会えるとは!
 
……が、ネットで検索したら「「コレコレこういうことで」という内容に関してはちょっと言いすぎ。でも日本成立というのは本当。」という旨の別の方の論文が出て来ました。新説を諾々と受容するのでなくきちんと応えて広げ深めていく! 学問ってこうでないと! とあらためて思いました。
 
占いや「くじ」その他を扱う章では親鸞聖人の
 
 かなしきかなや道俗の
  良時・吉日えらばしめ
  天神・地祇をあがめつつ
  卜占祭祀つとめとす(『正像末和讃』悲嘆述懐讃)
 
のご和讃を引いて紹介してくださっています。嬉しいです。ありがとうございます。そうなんですよ800年前からあまり変わってないんです。かなしきかなや……。
 
でも「くじ」をめぐる著者の個人的なエピソードをさらりと紹介しているところは、なかなかすごかったです。
 
よい本です。たぶん。

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