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『ファクトフルネス』読了。 [本の感想系]

『ファクトフルネス』読了。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

  • 作者: ハンス・ロスリング
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2019/01/11
  • メディア: 単行本


ネタバレ?
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主著者のハンス・ロスリングさん、今日が祥月命日です。三回忌にあたります。びっくりしました。素晴らしい本と素晴らしい問題意識、問題提起、対処法をありがとう。がんばります。

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ファクトフルネス [本の感想系]

この記事にクイズがあります。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55284?fbclid=IwAR2j4lE0NFsvBCI6pRFs-UREyxWMDfI5MKF85GtuPNBU6OWMVLIV0fb9qKg

わたし、3問正解でした。
ランダムに選んでも4問正解しそうなものなのに。3問正解でした。

だから本を買いました。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

  • 作者: ハンス・ロスリング
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2019/01/11
  • メディア: 単行本

以前、
「犯罪は減っている」と事実を言って、
「お前は何を根拠にそんなことを言うのか!!」
と、怒られたことがあります。
「データに基づいて話をしても「そんなことはない!そのデータが間違っている!」と頑強に言い張る人がいる。困ったものだ。」……と思っているわたし自身の「常識」もかなり曇っているらしいことがわかります。だって、クイズの正解は3問ですから。ひとのこと何も言えない。恥ずかしい。

そういうふうに、常識の古いウロコが、目から心から体から、ぼろぼろ音をたててはがれていく本です。って、こういうのをわたしは比較的何度もおすすめしていると思いますが、でもわたしがいろいろすすめるのは「やれやれ」という方向性が多いと思います。

しかしこの本はどっちかというと、大変に明るい方向に常識を変えてくれます。そういう意味でもとてもおすすめです。まだ半分しか読めてませんが、早めにご紹介。

ではでは。
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辞書のご案内 [本の感想系]

1995年4月から2年間、中央仏教学院という、浄土真宗本願寺派の僧侶養成のための専門学校に行きました。そのときの1年め、「本科」の同級生だった麻田くんが、このたび本を出しました。

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帯広の駅そばの大きな本屋さんに行ってみたところ、フツーに売られていました。ぱらぱらめくって見たところ、なかなか面白そうでした。実際に面白いところもある。なのでとりあえず買って来て、家族からもよく見えるところに置いて宣伝しつつ、自分でもちらちらと見ています。いちおう「辞書」なのでどこから読んでも良いのです。

そして、挿絵というかイラストというかが充実している。それも麻田くんが描いている。こんなに絵うまかったんだ!と驚きました。「消しゴムはんこ」の第一人者……と言うと言いすぎかな?と思わないでもないけれど、でも、大伝道者の1人ではあります。下絵をしっかり描けるわけだから、まあ、絵はうまいのか。とはいえしかし……

とにかくおすすめです。辞書なので読了はできてませんが、いやあ、良い本が出ました。嬉しいです。今度どこかで会えたらサインをもらおう。

気になる仏教語辞典: 仏教にまつわる用語を古今東西、イラストとわかりやすい言葉でなむなむと読み解く

気になる仏教語辞典: 仏教にまつわる用語を古今東西、イラストとわかりやすい言葉でなむなむと読み解く

  • 作者: 麻田 弘潤
  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2018/11/06
  • メディア: 単行本



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『ホモ・デウス』より [本の感想系]

ハラリさんの『ホモ・デウス』という本があります。前著『サピエンス全史』があまりに素晴らしかったのでわくわくと楽しみにしていました。その本の、下巻の一節です。

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なんか、ちょっとあんまりかなあ……と思いました。しかしやっぱりすごい洞察に満ちた刺激的な本です。と言いながら、まだ読了はできていません。よろしかったら、『サピエンス全史』も『ホモ・デウス』も、どうぞ、どうぞ。内容をざっくり言うと、人類史の本です。

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来

  • 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/09/06
  • メディア: 単行本


ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

  • 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/09/06
  • メディア: 単行本


サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

  • 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/09/08
  • メディア: 単行本


サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

  • 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/09/08
  • メディア: 単行本


ではでは。
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瓜生崇『無明の私に遇う 「歎異抄」第四条より』響流書房 [本の感想系]

無明の私に遇う: 「歎異抄」第四条より (響流ブックレット)

無明の私に遇う: 「歎異抄」第四条より (響流ブックレット)

  • 出版社/メーカー: 響流書房
  • 発売日: 2018/08/06
  • メディア: Kindle版

 すでに一万部以上の大ベストセラーとなっている『さよなら親鸞会』の著者で、仏教書専門の電子書籍出版社「響流書房」を主催する瓜生崇氏の最新著書。金沢でされたご法話のような講演を、ほぼそのまま本にしている。講演したままをテキストに起こして出版することが可能なのは、恐らく三島由紀夫か瓜生崇くらいである。
 
 『歎異抄』第四条に親鸞聖人の言葉として「慈悲に聖道浄土のかわりめあり」が紹介されている。その「かわりめ」と、『仏説無量寿経』の中に誓われる「四十八願」、その第十九願・第二十願、そして第十八願の関係性について解き明かし、念仏の救いは「無明の私に遇う」ことであると結論する。
 
 読むと、早口で滑舌良く論理明晰に語る著者のいつもの姿が、あたかも住立空中尊のように眼前に立ち現れて来る。阿弥陀仏の救いに条件はない。聞いてつかむことが救いなのでもない。南無阿弥陀仏が救いそのものなのである。
 
 なんまんだぶ。
 
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ヨシタケシンスケ『こねてのばして』 [本の感想系]

こないだ、4月8日、おしゃかさまの誕生日のまさにその日に、お寺のこども会がありました。

例年のように、おしゃかさまの像に甘茶をかけたり、おしゃかさまの像に似せて粘土で作ったり、甘茶やほうじちゃを飲んだり、お赤飯や六花亭のシフォンケーキを食べたりしました。
年度で最初のこども会なので、総代さんと婦人会長さんに来ていただいてお祝いを言ってもらったり、いちおう「入校式」というのをしたりもしました。

例年とちょっと違っていたのは、粘土でおしゃかさまの像を作ってもらう前に、ヨシタケシンスケの絵本『こねてのばして』を妻が読み聞かせたことです。
主人公が、白っぽく見える何かを、こねたり、のばしたり、つついたり、つまんだり、ころがしたり、謝ったりする、そういう絵本です。
粘土をいじくる前に読むには最適な絵本かもしれない、と思いながらこどもたちと一緒にゲラゲラ笑いながら読み聞かせを聞きました。
そして出来上がったこどもたちの粘土作品は、なんか、集中力が増したのか、大笑いした後だから大人しくできたのか、とても力作揃いでした。

ありがとう、ヨシタケシンスケ。
ありがとう、妻。
ありがとう、おしゃかさま。

なんまんだぶ。

こねてのばして

こねてのばして

  • 作者: ヨシタケ シンスケ
  • 出版社/メーカー: ブロンズ新社
  • 発売日: 2017/10/19
  • メディア: 単行本



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小谷みどり『〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓』岩波新書 [本の感想系]

小谷みどり 『〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓』
岩波新書 2017年7月28日 780円+税
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 第一生命経済研究所の小谷氏の著作。『変わるお葬式、消えるお墓【新版】』もそうだったが、氏はそれ以前からずっと「葬儀」について非常に広い視点から観察し、考察している。本書はその25年の「調査や研究の集大成でもある。」(あとがき)
 
 遠いような身近なような問題や課題として、恐らく誰もが葬儀やお墓について漠然としたイメージを持っているのではないかと思う。そしてそのイメージを元にして考えたり、調査したり、意見を交わし合ったりする。
 
 その時、たいていは自分の「イメージ」から無意識のうちに「葬儀やお墓はこうあることが望ましいのではないか?」と規範的な面を考えがちなのだと思う。それにはもちろん良い面もあるが、自縄自縛になりがちというか、自分で思い込んでいるだけの規範を考えすぎて変に苦しんでしまいというか、悪い面もきっとあるのではないかと思う。(少なくともわたしにはそういうところがあるようだ。)
 
 小谷氏の場合、その、葬儀やお墓に対する「イメージ」がまず非常に広くて柔らかく、偏見や思い込みが一切ない。「こうあるべき」という押しつけもない。だから調査を進める中で葬儀やお墓をめぐる視点がさらに放射状に広がっていく。日本の歴史的な調査はもちろん、海外にもおもむいて、一般的なものから、最近の流行のようなものまで幅広く紹介してくれる。
 
 読みながら何度も「そんなひどいことを!」とか「それはちょっとやり過ぎではないか?」などと思ったりしたが、でも無意識の「こうあらねばならない」というクビキのようなものを廃して考えると、「これでも良いのかも知れない!」と本気で思えて来る。
 
「私は、メディアから取材を受けるときに「どんなお葬式やお墓にしたいと思いますか」とよく聞かれるが、そのたびに「考えたことがありません」と答えている。そもそも何十年も先のことは、社会の状況も私の生活環境も変わるだろうから、考えても仕方がないと思っている。「もし、いま突然死したら」ということも考えていて、そのときは、死後を託す人を決め、本人たちに日ごろからお願いしているので、今のところ、何の心配もない。/ 誰とどんなところに納骨されても何のこだわりもないので、お墓をどうするかは、残された人が考えてくれればよいし、死んで数年ぐらいは、たまには思い出してくれるに違いないと私が一方的に考えている仲間もいる。まわりの人は迷惑かもしれないが、それでも何とかしてくれるに違いないと、心から信じきっているので、死後の不安は何もない。」pp.206-207
 
 この柔らかさが、本当にすごいと思う。ただ、これはわたしの偏見なのだが、自分でいちおう考えて、その状態から自分で責任をもって他者に託す、それ以外の託し方や託す相手も実はあるのではないかと、どうしても思えてしまった。
 
 とにかく、葬儀とお墓について、目からウロコの本である。
 
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「死後を、誰に託しますか」
 
◇参列者のいないお葬式
◇お葬式ではなく、身近な人たちによるお別れ
◇遺骨をお寺に郵送
◇身寄りがいても、引き取られない遺骨の増加
◇新しいつながりからうまれる共同墓
◇手元供養で、亡くなった人を思い出す
 
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「余談だが、骨あげと称して遺骨をかたちのまま骨壺に入れる習慣は、他の国にはない。諸外国では、火葬場に粉骨機が設置してあり、火葬が終わった遺骨はパウダー状にして遺族に返却されるのが一般的だ」p.130
 
「ぽっくり死にたい人は、長患いへの家族への気兼ねが大きな理由であるのに対し、病気で少しずつ弱って死ぬほうがいいと考える人は、自分の人生をきちんと締めくくりたいという思いがあり、両者では、死に対する考え方が違うことがわかる。」p.183
 
「自分は死んだら無になると考えている人でも、大切な人が亡くなって無になったとはあまり思わないはずだ。「自分の心の中で生きている」「私を見守ってくれている」といった感覚は、大切な人は無になっていない証である。こうした、一見矛盾した意識は、「自分のお葬式は不要だけど、大切な人が亡くなったときにはお葬式をする」「わたしはお墓はいらないけれど、大切な人のお墓参りはする」といった行動にもあらわれている。」p190
 
「死ぬ瞬間や死後の無縁が問題なのではなく、生きているあいだの無縁を防止しなければ、みんなが安心して死んでいける社会は実現しないのではないかと私は思う。」p.202
〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓 (岩波新書)

〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓 (岩波新書)

  • 作者: 小谷 みどり
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/07/29
  • メディア: 新書



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高橋昌一郎『反オカルト論』光文社新書 [本の感想系]

反オカルト論 (光文社新書)

反オカルト論 (光文社新書)

  • 作者: 高橋 昌一郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/09/15
  • メディア: 新書

スピリチュアリズムの起源に迫って、世界的に有名な話をきちんと紹介してくれます。再確認。あと、わたしがまったく知らなかった話も紹介してくれています。一次資料にきちんとあたったそうです。でもこれも有名な話なのかなあ。こんなに感動的な話を知らなかったなんて。不勉強を恥じています。コナンドイルの残念さはしかし本当に残念です。ホームズもロストワールドとかも大好きです。(まあ景山民夫のカンガルーとかCooとか大好きでやっぱり残念ですから同じようなものか。)
 
帯にある「STAP細胞」についてはかなり詳しくやってくれてます。わたしも割烹着姿にキュンキュン来た中高年の遅れてきた代表筆頭くらいなもんなので、だから恥ずかしくてあまりキャッチアップしてないんですが、きちんきちんと「その後」のいろいろを丁寧に紹介してくれています。本当にありがとうございます。
 
ときどき新聞で本の広告を見まくる矢作というお医者さんの著作となさっていることの内容についても紹介してくれてます。広告を見るたびにあまりに変な内容っぽいけどお医者さんだけど大丈夫なんだろうかと思っていたら江原さんとお互いに認め合うような対談本を出したからああやっぱりアレなんだなあと思っていたらやっぱりこの本でも否定的に紹介されています。読む手間が省けて本当に良かった。
 
個人的には、「はじめに」で、20年以上前に講義で「少年老い易く学成り難し…」の漢詩を「あれは中国ではなく日本成立の漢詩。そして内容は実はコレコレこういうことで…」と紹介してくださった柳瀬喜代志先生の論文が引かれ、まったくその主張のままだと紹介してくれてたのには、懐かしく、またすごくびっくりしました。まさかこういう本で会えるとは!
 
……が、ネットで検索したら「「コレコレこういうことで」という内容に関してはちょっと言いすぎ。でも日本成立というのは本当。」という旨の別の方の論文が出て来ました。新説を諾々と受容するのでなくきちんと応えて広げ深めていく! 学問ってこうでないと! とあらためて思いました。
 
占いや「くじ」その他を扱う章では親鸞聖人の
 
 かなしきかなや道俗の
  良時・吉日えらばしめ
  天神・地祇をあがめつつ
  卜占祭祀つとめとす(『正像末和讃』悲嘆述懐讃)
 
のご和讃を引いて紹介してくださっています。嬉しいです。ありがとうございます。そうなんですよ800年前からあまり変わってないんです。かなしきかなや……。
 
でも「くじ」をめぐる著者の個人的なエピソードをさらりと紹介しているところは、なかなかすごかったです。
 
よい本です。たぶん。

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モンゴルよ、ああモンゴルよ、モンゴルよ。 [本の感想系]

どの教科書にも書かれていない 日本人のための世界史

どの教科書にも書かれていない 日本人のための世界史

  • 作者: 宮脇 淳子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/02/24
  • メディア: 単行本

歴史研究の本なのに、最初の方は本当に血湧き肉躍る感じでわくわくします。設定や視点はすごく面白い。……面白いのですが、途中からものすごく詳しすぎるモンゴル史になって、「いやそこまで詳しく知らなくても良いんです先生……」と言いたくなります。しかし、本当にものすごいです。圧倒されます。
 
ものすごく多くの影響をこの世界はモンゴルから受けている。世界史からモンゴルを抜いて語るのは愚の骨頂。とくに今の世界に蔓延しているように見える各国における「わたしの国の今の政府はいろんな意味での〈しかるべき手続き〉を正当に経てまったく問題なく正統かつ無謬の存在としてイマココにあるんである」的な「歴史観」からいくと、各国の「歴史」的にはモンゴルはほぼなかったことになる。しかし、それは積み重なる知の集積のような捉え方で「歴史」を考えていくなら、まったくおかしなやりかたである。各国が都合良く編集する前の真の集合知を手に入れたくはないか!? わたしは手に入れたい! そして世界で共有したい!
 
……という旨の主張(取意)は、まったくその通りだと思いました。感動的です。
 
しかし途中から、モンゴル同様に「歴史から抹殺された帝国」的な文脈でアレが出てくるので、まあそれは一面から見ればまったく正しいけれど、でもそれは現在から過去を一方的に断罪するのとは違う見方からみてもちょっと受け容れられない面がバリバリあるんですが先生それは……という感じもありました。
 
はるか昔のモンゴル帝国でさえ先生が憤る今のような扱いを受けているんだから、ちょっと前、虚実ない交ぜにしつつハラワタ煮えくりかえってる人が今もたくさんいるもう一つの帝国の方を歴史的な帝国としてすんなり認めよう、表に出してやっていこう(取意)……というのはかなり無理があるとわたしは思います。
 
「歴史研究においては」ということでそれがもし認められたとしても、そこに「我が意を得たり」的に誤解・曲解してムチャクチャを言い出す人が一定数以上いるだろうことも容易に予測できます。だから、正直「なんだかなあ」と思いました。「よくある感じ」になって終わってしまった印象。
 
しかし、モンゴルがいかにすごかったか、どのように世界に影響を与えたのか、という研究は、本当にすごかったです。
 
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浜田寿美男『「自白」はつくられる』ミネルヴァ書房 [本の感想系]

「それでも、お前がやったのに、決まっている。」

「自白」はつくられる:冤罪事件に出会った心理学者 (叢書・知を究める)

「自白」はつくられる:冤罪事件に出会った心理学者 (叢書・知を究める)

  • 作者: 浜田寿美男
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2017/02/25
  • メディア: 単行本

 取り調べ者の「こいつがやったに決まっている」という取り返しのつかない根拠なき「信仰」に基づいて取り調べが行われた結果、自分がやっていないことを知っている被疑者は「落ち」、取り調べ者とともに、伝聞推定の「資料」をもとに犯行の一部始終を能弁に語りはじめる。

 非常にコワイ。いや「コワイ」を通り越して絶望すら覚える。

 裁判はわたしが思っていたよりも遙かに「カルト」化している。

 わたしがここで言っている「カルト」はもちろん「反社会的な行為を行う集団」という意味でのカルトである。他には表現のしようがない。

 何もしていない人をつかまえてきて閉じ込めて集団で問い詰めて「わたしがやった」と言わせる。その後さらに「精密」に取り調べて裁判に臨み、「自白はうそだった」と言い出す被疑者の主張を「ことば」の解釈の問題だけで潰し切り、死刑判決を下す。しかる後に真犯人と物的証拠があがってきて、それまでの裁判の何もかもが崩れ去った後で、やっと無罪と認め、釈放する場合もある。(が、無罪と認めず釈放しない事例も枚挙に暇がない。)

 通りいっぺんの「謝罪」はするが再発防止策を真剣には模索する気が端っからさらっさらないように見え、自浄能力も自己変革能力も一切ないように見える、というか実際そのように動いていると判断せざるを得ない面を色濃く持っている集団が「カルト」でないはずがないではない。

 本当に怖い。絶望的である。

 ただ、著者の「自白が無実の証明になることさえある」という見解は、たしかにいきなり接すると突飛すぎる。しかしこの本を読む限りにおいては、あまりに「なるほど!」と頷かされる面が多い。素晴らしい見解である。司法関係者からもっと真剣に取り合ってもらえれば良いと思う。わたしが当初から持っていた

 「無実の人がなぜ「自白」するのか?」

 をはじめ、

 「シロウト目には虚偽であることが明白すぎるほどに明白な自白がなぜここまで闇雲に重視されねばならないのか?」

 という素朴な疑問がこんなふうにあまりにあっけなくほどかれてしまうとは思わなかった。素晴らしい本である。

 ただ、内容的な重複が異様に多い。連載をそのままの流れで本にまとめるのではなく、もう少し全体を把握してから再構成・再執筆すれば、2/3、理想としては1/4くらいの分量になった本。そこだけが残念。

 しかし内容はものすごく良い。素晴らしい本である。大事なことなので二度は言う。本当に構成は残念。しかしその残念さを補ってあまりありまくりの本。

 「自白」だけにこだわってここまで書ける、ここまで問題をあぶり出せる。

 すごい。
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